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大阪地方裁判所 昭和28年(行)22号 判決

大阪府泉南郡尾崎町八〇番地

原告

三沢鶴市

右訴訟代理人弁護士

中元兼一

大阪市東区杉山町一番地

被告

大阪国税局長

村山達雄

右指定代理人

沢田安彦

右当事者間の昭和二十八年(行)第二二号審査決定取消請求事件について、当裁判所は次のとおり判決する。

主文

本件訴訟は、昭和二十九年四月二十日の満了により取下げられたものと看做され終了した。

昭和三十年二月十四日附でした原告の口頭弁論期日指定申立後の訴訟費用は、原告の負担とする。

事実

原告訴訟代理人は、昭和三十年二月十四日附で本件訴訟事件について口頭弁論期日の指定を求める旨申立て、その事由として同事件は昭和二十九年一月二十日午前十時の口頭弁論期日(以下本件期日という。)において当事者双方が出頭せずその後三カ月以内に期日指定の申立がなかつたので三カ月を経過した同年四月二十日休止満了により取下げられたものとして処置されているが、原告は本件期日に出頭のうえ「本件は大阪地方検察庁において脱税被疑事件として搜査中であるから、その完了を待つまで次回期日は追て指定にされたい。」旨を申述べ、裁判長の許可もえており、事前に被告指定代理人にもその旨の了解をえてあつたのであるから茲に本件訴訟事件の口頭弁論期日の指定を求めると述べた。

被告指定代理人は本件期日に原告は出頭していないし、その原告が裁判長に次回期日を追て指定にされたい旨申述べる筈はなく、被告指定代理人が事前にその旨の了解を与えたこともない。また仮りに本件期日に原告が出頭していたとしても本件期日の口頭弁論調書にはそのような記載はなく民訴法一四七条によつてそのような事実があつたものとは認められない。従つて本件訴訟は休止満了により取下げられたものとして既に終了しており原告の本件期日指定の申立は失当である。と述べた。

理由

本件記録を調査するに、昭和二十八年十一月二十一日午前十時の口頭弁論期日直前に期日が翌二十九年一月二十日午前十時に変更され、その旨その期日に出頭した双方代理人に口頭告知されたこと、その後の本件期日の口頭弁論調書には「双方出頭せず。」と記載されていること、が明らかである。

原告訴訟代理人は、本件期日に出頭のうえ裁判長に次回期日を追て指定にする旨の許可をえていたと主張するので按ずるに期日における当事者又は代理人の出欠は口頭弁論の方式に関する事項と解する外なく、それが法定どおり遵守されたかどうかは、調書が滅失したとか偽造されたとか特段の事情がない限り、民訴法一四七条本文により調書の記載如何によつて決せられ他の証拠方法による反証は許されず、前示のように本件期日の口頭弁論調書に「双方出頭せず」と記載されている限り、特段の事情の認められない本件においては、被告はもちろん原告とその代理人も本件期日に出頭していなかつたものと認める外はない。

従つて原告訴訟代理人が本件期日に裁判長から次回期日を追て指定する旨の許可を得た事実もなかつたものと認めるのが相当である。

そして本件についてその後三ケ月の法定期間内に当事者双方のいずれからも口頭弁論期日の指定を申立てた形跡がないから、本件訴訟は民訴法二三八条により三ケ月の満了日である昭和二十九年四月二十日の経過と共に取下げられたものと看做され終了したものというべきであるから、原告訴訟代理人がその後の昭和三十二年二月十四日に至り本件訴訟手続の進行を求めその口頭弁論期日の指定を求めたのは失当といわなければならない。

以上のとおり、本件訴訟は休止満了により取下げられたものと看做され終了したことが明かであるからその旨を終局判決をもつて宣言すべく、前示期日指定申立後に生じた訴訟費用につき民訴法八九条九五条を適用して主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 岩口守夫 裁判官 倉橋良寿 裁判官 岡次郎)

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